錦秋の甲斐路

 近年はとみに気候の高温化が進んでいるようで、以前と比べて春はますます早く、秋は遅くなってきています。東京都心に至っては、桜は大抵3月中に咲いてしまいますし、モミジの紅葉の見頃は12月に入ってからになってしまいました。うっかりするとクリスマスの頃になっても街路樹のイチョウの葉っぱが残っていたりして、季節感がすっかり狂ってしまいます。

 山梨県内の中央線沿線でも11月中旬になってようやく紅葉が見頃を迎えました。トンネルに挟まれた短い鉄橋、列車に乗っているとわずか数秒で通り過ぎてしまう場所ですが、紅葉と黄葉がほどよく混じって錦秋という言葉がぴったりするような景色です。そんな秋の甲斐路を横須賀色の115系が軽やかに駆け抜けて行きました。それから6年、樹木の成長でこの場所で当時のような写真を撮るのは難しくなっています。車両と同様に撮影地も移り変わるのだと思い知らされます。

(2010.11.16 中央本線 四方津-梁川 Chuo line Shiotsu - Yanagawa)
[Rail Magazine 329 / 2011-2 今日の一枚 掲載]
[Rail Magazine 340 / 2012-1 特別付録「今日の一枚」2012卓上カレンダー 掲載]

秋、一瞬の輝き