朝、鳥沢

 中央線快速電車は運行する区間も東京から河口湖、奥多摩、武蔵五日市や高麗川までと長くて多岐にわたり、分割併合もあって大変複雑な運用をこなしています。このため、ひとたびダイヤが乱れると、運転整理は職人技の世界になります。また、複雑な運用変更が実施され、ダイヤ乱れは復旧しても、車輛運用が計画通りに戻るのには何日もかかることもあります。

 中央線201系末期のある日、例の如くダイヤ乱れから運用変更が多数発生しました。こうなると、翌日201系がどの運用に入るか予想するのが夜の楽しみになるのですが、この日は早朝の大月折り返しに充当される可能性が大きいのではないかと予想しました。幸い天気予報も良好なので、翌朝はうんと早起きして出勤前に鳥沢まで朝練にでかけることにしました。

 まだ真っ暗な時間に家を出て、車窓から豊田の様子を伺い、高尾で先行する大月行きに乗り換えて、ようやく鳥沢に着きました。まだ鉄橋には陽が当たっていませんが、201系がやって来る頃にはサイドに朝日があたるはずです。じりじりしながら列車の通過時刻を待ちます。そして、鉄橋のサイドに黄金色の朝日が輝き、舞台装置は完璧です。そして、ついに列車がやって来ました。

 ん・・・変だぞ・・・ 現れたのはなんとステンレス、E233系ではありませんか。すっかりあてが外れて、その場にへなへなと座り込んでしましました。自分で勝手に期待して勝手に盛り上がって、勝手に打ちのめされる。バカみたいなお話です。やっぱり、撮りたい写真は毎日走っているうちに撮っておかなければいけない、ということを痛感させられました。

 それでも今、E233系を撮るために眠い目をこすりながら早朝の鳥沢まで行くかと聞かれれば、ウーンと唸ってしまうわけで、葬式鉄にも効用はあるというべきなのでしょう。

(2009.10.22 中央本線 鳥沢-猿橋 Chuo line Torisawa - Saru hashi)