天上の楽園ブロッケン、しかし

 念願のヴェルニゲローデに滞在して、ハルツ狭軌鉄道を4日間も撮影したのですが、なぜかハルツの象徴ともいえるブロッケンの写真をお見せしなかったのには訳がありまして、誠に遺憾ながら思い描いていた写真が撮れなかったからです。

 1年のうち300日も霧が出るというブロッケンでは、思うような写真を撮るということなど至難のわざです。幸いなことに今回の訪問では霧にこそ会いませんでしたが、最初の2日間、ブロッケンの山頂はどんよりと曇っていて、今一つ欲求不満がたまっていたのでした。

 そして最終日、ブロッケン山頂にもついに晴れ間が現われ、絶好のコンディションになりました。山に登ってくる列車の時刻も近づき、期待に胸が高鳴ります。となりでは珍しくドイツ人の鉄もカメラを構えています。そして、ついに列車の音が聞こえてきました。

 「ドロドロドロドロドロドロ・・・」 なんとディーゼルではありませんか。当時は蒸機とディーゼルが共通運用だったので、当然ありえたことなのですが、よりもよって最高の条件のときにディーゼルがやって来るとは。となりのドイツ人鉄と思わず顔を見合わせてしまいました。

 それにしても、このディーゼル機関車は大きすぎます。ボンネットが客車の屋根よりも高いのですから、まるで縮尺の違う模型を無理やり連結してしまったような違和感があります。それもそのはずで、当時ヴェルニゲローデ周辺の本線でも盛んに使われていた標準軌のB-Bタイプ中型DL、V100系(DR 112→DB 202など)の足回りだけを、メーターゲージ向けのC-Cタイプにアレンジしたのがこの199.8形ですから、ナローの客車とはサイズがまったく違うわけです。

 このDL、今日ではもっぱら回送、入換や除雪用などに使用されていて、旅客列車を牽くことはありませんので、今となっては良い記録になったと、自らを慰めています。

(1994.5.30 ハルツ狭軌鉄道 ブロッケン-シ-ルケ Harzer Schmalspurbahnen Brocken - Schierke)

レーダー

山頂にある旧東ドイツのレーダー、今と比べると物々しい雰囲気でした。


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