梅雨入り前の楽しみ

 花の時期から新緑の気候へと移ろいゆく季節は楽しくて、線路端に立ってカメラを構える機会も多くなります。しかし初夏の快適な気候を楽しめる季節は短いもので、6月の声を聞くようになると、東京でも鬱陶しい梅雨の季節がやって来ます。

 そんな梅雨入りも迫った6月最初の週末、中央線の車窓からもよく見える市ヶ谷駅からほど近い有名な釣り堀は、名残りの初夏を楽しむ人たちで賑わっていました。物心ついた頃からずっと変わらないこの釣り堀とオレンジ電車の取り合わせを、いつか撮ってみたいものだと思っていましたが、紫陽花の花も咲き始めた季節になって、ようやく意を決して出かけることがてきました。

 夏の陽が照りつける一日でしたが、なかにはカップルで釣りを楽しむお客さんもいて都心の釣り堀は大賑わいでした。私自身は釣りに関しては素人で全く何もわからないのですが、皆さんの表情を見ているとその楽しさが伝わってくるようで、こちらまで幸せな気分になってしまうのが不思議です。そうこうするうちに、お目当てのオレンジ電車のモーター音が聞こえてきました。

 中央線のオレンジ電車とともに昭和から平成へと時を重ねてきた市ヶ谷フィッシュセンター、オレンジ電車がなくなってから随分月日が経ってしまいましたが、さらに新しい時代へ向けてこの平和な風景が引き継がれることを願わずにはいられません。

(2010.6.5 中央本線 飯田橋-市ヶ谷 Chuo line Iidabashi - Ichigaya)