炭鉱を目指して

 内蒙古の包頭あたりに前進型重連が走っている新線がある、という噂が聞こえてきたのはこの年の夏頃のことでした。あの集通鉄路が開通したのが1995年の暮れで、マニアに発見されたのがその翌年でしたから、まだそんな新線があっても不思議ではない時代でした。そして年末には早速、包頭を目指した撮影ツアーが企画されたのでした。

 しかしツアーで最初に向かった先は話題の新線ではなく、包頭の北東方向にある石拐の炭鉱へ向かうローカル線でした。旅客列車は午前と夜の2往復、貨物列車は日中に2往復運転されていて、デフ無しの建設型が走っていました。終点の一つ手前の後壩駅の付近がサミットになっていて、上り下りとも力行して来る姿を撮影できます。

 まだ真っ暗な包頭駅で寝台列車を降りて、眠い目をこすりながらバスで撮影地を目指します。しかし、朝の下り旅客列車は8時前なのでまだ日の出前の時間です。そして朝日を受けて9時前にやって来た下りの貨物列車は場所の選定を間違えて、肝心の場所ではまだ山陰のなかでした。そして、この後追い写真だけは冬の朝日を浴びて輝いています。下見のときはちゃんと日が当たったんだろうな、などと思うと、一年で一番日の短いこの時期が恨まれます。

 でも、ツアーもまだ初日です。気を取り直して石拐側の撮影地へ向かいました。しかし、夜行列車で早朝に起こされたせいで頭が働いていなかったのでしょう。この時点ではまだ大変なことに気づいていませんでした。

(1998.12.30 包石線 紅峰嶺-後壩 Baoshi line Hongfengling - Houba)

1998.12.30
・炭鉱を目指して
忘れもの
1998.12.31
前日の教訓
白い川
石拐俯瞰
昼下がりの包石線
夕暮れ時、氷の上で
1999.1.1
ハイデフ前進の旅客列車
1999.1.2
早暁の重連
第3橋梁
第4橋梁、3台運転
カメラをかえて広角で
第1橋梁、大興奮
Sカーブ
1999.1.3
逆光、接近戦
砂漠のはずれ、渡らずの橋