蒸気の魅力

 昭和の末期から平成の初め頃に函館本線を走っていた「C62ニセコ号」、ゴールデンウィークには毎年かかさず出かけましたが、この時期の北海道は天候が意外と安定せず、ピーカンの青空の下で撮った回数は思いのほか少なかったように記憶しています。

 この日も曇りがちで、時々薄日が差すような不安定な天気でしたが、気温が低いので白煙も期待できる状況でした。この日、午前の上りはどん曇りの然別~銀山間で、午後の下り列車は蘭島~塩谷間で撮りました。蘭島~塩谷間の下り列車は有名撮影地は避けて、線路端で一人まったりC62 3号機の登場を待つことにしました。

 待って待って待ちくたびれた頃、ようやく「C62ニセコ号」がやって来ます。通過時には薄日も差して、きれいな半逆光の光線になりました。そして風向きも味方してくれたようで、正直者の白煙が列車に纏わりつき、それはそれは美しい光景が眼前に現れました。これこそ一人で待っている醍醐味でしょう。大人数が集結している有名撮影地では、わざとらしい重油の黒煙になってしまって興醒めです。蘭島の駅まで小躍りして戻ったのは言うまでもありません。

(1992.5.4 函館本線 蘭島-塩谷 Hakodate line Ranshima - Shioya)

1992.5.2
臨時急行「ニセコ」
小沢発車
1992.5.4
・蒸気の魅力