一足早い稔りの季節
 いすみ鉄道のキハ52がタラコ色に変わった2014年、夏休み中のファンサービスとして、普段は土休日にキハ28との2輛編成で運行しているキハ52を、平日に単行で走らせてくれました。いすみ鉄道でキハ52が走り始めた頃、中井精也氏が開拓した撮影地には単行列車が似合う場所が多くあったので、この企画に小躍りしたのは私だけではないでしょう。ここ大多喜-小谷松間の祠ポイントも、単行のキハがお似合いのポイントです。黄金色の絨毯の上を走るキハ52は素敵で、祠、銀杏、キハが画面上にピタリと納まるあたり、中井氏のセンスが光る撮影地と言えましょう。

 早場米の産地として知られる千葉県、いすみ鉄道の沿線では8月の声を聞くと田圃は黄金色に色づき始め、お盆前には稲穂がたわわに実った美しい光景が広がります。そして8月下旬には早くも稲刈りが始まります。一般的な季節感覚とはかなりずれているので、撮影のタイミングを逃してしまうことも少なくありません。この日も、すでに稲刈りが始まっている場所もあってヒヤヒヤしましたが、この場所ではまだ間に合って胸をなでおろしました。

 これでキハ52が国鉄一般色だったらなぁ、などという繰り言は申しません。2014年にもなって、こんな光景を見せていただいたことに感謝するしかありません。いすみ鉄道のキハ52、昨年には一般色に戻され、今年は全検も通してくれたそうです。これからも機会を見つけて、その姿を見に行きたいと思っています。

(2014.8.19 いすみ鉄道 大多喜-小谷松 Isumi railway Otaki - Koyamatsu)
[Rail Magazine 384 / 2015-9 掲載]