大街道の夜
 国内でも外国でもそうですが、訪れた街に市内電車、トラムやLRTがあると、なぜかほっとしてしまうのは私だけでしょうか。地下鉄とバスだけの市内交通では、ちょっと寂しい思いをしてしまいますが、街なかを電車が走っている、というだけで親近感を感じます。

 道後温泉のお膝元で夏目漱石の小説「坊ちゃん」の舞台となった松山市も、そんな嬉しい街のひとつです。この地の路面電車は、市内電車とともに郊外電車も運営している伊予鉄道の経営で、地元の方々はもとより観光客にも親しまれていて、終日賑わっています。

 職場の同期の旅行で、高校生の頃以来30年ぶりに松山の街を訪れました。10代の頃はストイックな旅でしたが、中年オヤジの旅行はのんびりと、道後温泉では入浴後に休憩室でゆっくり寛いで、飲み会では美味しい料理とお酒をいただいて、いい気分でホテルに戻りました。

 ホテルの目の前には、市内電車がひっきりなしに行きかっています。酔い覚ましもかねて、ここはひとつ市内電車の写真でも撮りに行くか、という気分になって、カメラ1台ぶら下げて大街道の電停に行ってみました。

 時刻はすでに午後10時を過ぎているというのに街は賑わっていますし、松山市駅方面へ行く電車はみな満員盛況です。いいなぁ、こんな街。次々にやって来る電車にシャッターを切りながら、幸せな気分に浸っていた松山の夜でした。

(2011.1.21 伊予鉄道 城南線 大街道 Iyo railway Jonan line Okaido)

2011.1.21
・大街道の夜 
2011.1.22
続行運転