坪川駅にて
 1988年に北海道で「C62ニセコ号」が走り出してから、毎年ゴールデンウィークにはC62を撮りに出かけることになりました。そして、ちょうど同じ年に青函トンネルが開業したこともあって、渡道の前後に東北地方を訪れることもゴールデンウィークの楽しみになったのでした。

 そして「C62ニセコ号」2年目、元号も昭和から平成に変わったこの年、初めて南部縦貫鉄道を訪れました。青森県の野辺地から七戸を結んでいたこの鉄道、朝に2往復、午後から夜にかけて3往復と、1日わずか5往復の運転で、なかなか訪問も叶わなかったのですが、北海道旅行の行きがけの駄賃としてならば、ということでこの鉄道に行く決心をすることができたのでした。

 この日、午後一番のの列車で野辺地から七戸に行って、帰りには雰囲気の気に入った坪川駅で降りて撮影をしました。写真は夕刻にやって来た最終の野辺地行きです。季節はゴールデンウィークだというのに、南部の地はまだ冬枯れの風情です。夕暮れの淡い陽を浴びてやって来たレールバス、学校が休みだからなのでしょうか、車内にお客さんの姿は見えません。この列車に乗って野辺地に戻ったのですが、結局私以外のお客が乗ってくることはありませんでした。

 30年以上前の当時でも、走っていたことが奇跡ともいえた南部縦貫鉄道、レールバスのスパルタンな乗り心地にも強烈なインパクトを受けて、固く再訪を誓ったのでした。

(1989.4.30 南部縦貫鉄道 道ノ上-坪川 Mambu-jyukan Railway Michinokami - Tsubogawa)

1989.5.3
C62 3号機、大迫力